仕事しなさい!
「そう?勿体ないな。会社の人ら、絶対驚くよ。倫子さんが踊るところ見たら。本当に綺麗だし、魅力的だよ」


私は首を横に振った。
そんなの見なくていい。
知られなくていい。

ダンスが私を非日常に連れていってくれる。
それだけでいい。

魔法少女が正体を隠すのと一緒だよ。


「ねえ、倫子さん。踊ってるとこ見たいな」


「どうせ、明日来るんでしょ?ここでは嫌」


「そんなこと言わないでさ。どーせ、誰も通りかからないですよ。さっきから20分くらいいるけど、おばあちゃんと孫が一組通っただけじゃん」


「いーや!」


「わかった!じゃあ、ワンコーラス分だけ、俺に教えて!俺、結構運動神経いいよ?すぐできちゃうよ!」
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