俺様常務とシンデレラ

と、いうわけで、今朝はミルクたっぷりの紅茶かココアかの選択に迷うことはなかった。

ついでにいつものココアに加えてちょっと砂糖を多めにして、ホイップした生クリームをのせてみた。

(もちろん砂糖は角砂糖をハサミで切ったのではなく、スティックシュガーを使った!)


案の定、甘党の常務はうきうきした顔でそれを受け取ってくれた。




だけど、それを常務に説明しちゃうのはちょっと惜しいから、教えてあげない。



王子様の仮面をつけた常務からほんの一瞬覗く、本当の彼。

それを見つけられるのは、私のちょっとした強味なんだから。



「でも意外だな。お前はなんかこう、もっとへなへなしたやつだと思ってた。俺の本性を見せればすぐに辞めると思ってたし、礼状もまさか本気で1日で仕上げるとは思わなかった」


常務はココアをひとくち飲んでから感心したようにそう呟くと、急にくすくすと笑いはじめた。


「ちょ、ちょっと、あれ本当に大変だったんですよ!」


自分で命令しておいて人の苦労を笑うなんて、やっぱり腹黒い! ドS!


「いや、でも、お前のあの驚いた顔、やっぱお前にも見せてやりたい。くくく……ぽかーんと口開けて俺を見上げてさ……」


小刻みに肩を揺らして笑いを堪えていた常務だけど、私と目があった途端、プッと吹き出して声を上げて笑い始めた。
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