胡蝶蘭


「若は仕事の電話が入ったみたいやなぁ。」

やからきにせんでええよ

と、続ける高橋さん。


『そう。』


それなら仕方ないと思って
布団から起き上がる。


「何してんだよお前!?」

若干放心状態だった紫苑さんが慌て出す。

いや、なにしてるっていうかさ、

『…電話聞いてましたよね?

涼成と話さなきゃならないし、
帰ります。』

お世話になりましたとお辞儀をして、
バックの中にあるだけのお金

と言っても一万円だが。

を高橋さんに渡す。


びっくりした表情の高橋さん。

『これ、少ないですけど手当していただいたので受け取ってください。』

無理やり握らせ、
護衛の件もバレないようによろしくおねがいします。

と、付け足しあたしは立ち上がり、ふすまを開けた。


「てめぇ…どこ行く気だ。」

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