色のない世界。【上】




それは"外の世界"のことを少し知ってしまったからなのか、
ただ単に死んで欲しくないだけなのか。




今の私にはまだ理解出来ない感情。




でもこれだけは言える。




悠汰様にもっと色んなことを教えて欲しい。
"外の世界"のこと、"感情"のこと、そして"悠汰様"のこと。




でももう時間がない、私には。




あと1週間ほどで私は繁栄のための"道具"になる。




涼音が本家から骨を折って帰って来た。
本家に私のことを報告する涼音が帰って来ると必ず怪我をしていた。




それを見ても何とも思わなかった。
"以前"の私は。




"今"の私は、骨を折って帰って来た涼音を「痛そう…」と言葉を発した。




涼音も驚いていた。




痛そうと言った時、何だか暗い気持ちになった。
涼音は次報告に行ったら殺されるんじゃないか、もっと傷つくんじゃないか。




そんなことを考え出す。



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