エターナル・フロンティア~前編~

 しかし憩いの場所といいながら、人の数は少ない。広い空間の割には小さい子供が数人とサラリーマンらしき男が仕事をしている者しかおらず、何より宇宙旅行が支流のこの時代、宇宙空間は見慣れているのだろう、子供達は外の空間に見向きもせずに遊び回っていた。

 少女は壁に身を預けると、ポケットから携帯電話を取り出し撮影した写真のひとつひとを眺めていく。水着姿の自分の写真や、真剣な表情でショッピングをする友人。だがどの写真にも少女は満面の笑みを浮かべておらず、どちらかといえば作り笑いをしているといっていい。

 三週間の日数は彼女にとって苦痛に近く、今思えば地獄の中で生活をしていたようなもの。卒業旅行という名目で遊びに行ったのだが、正直いって楽しいと感じることができないでいた。この旅行で本当に楽しんでいたのは、友人の二人だろう。現に、四日オーバーしている。

(何だろう、本当に――)

 計画している間は特に問題はなかったが、友人達の予想外の行動によって予定が大幅に狂いだし計画通り進まなくなってしまう。どのように間違えて、このようなことになってしまったのか。大きな原因は買い物の回数であり、それも毎日のように行ったので予定など無いに等しい。

 物事が予定通りに運んでいたらそれなりに素晴らしい旅行になっていたに違いないが、狂った計画は誤算を招き行きたいと思っていた場所の半分も行っていない。観光より買い物が支流だったので、これなら一人旅をしていた方が良かったと少女は今更ながら激しく後悔する。

(だから、卒論も計画的にいかないのかな。これで卒業後、仕事を行うのだから……心配……でも、その前に卒業ができるのかしら。卒業に当たって単位とか、その他やることが……)

 卒業まで、残り二ヵ月半。それだというのに友人達は、卒論を全く書いていない。はじめから「卒論を見る」という感覚を持っているらしく、残念ながらそれは無理が大きい。今まで何とか誤魔化してきたが、今回はそれが通じない。何せ、相手は卒業論文なのだから。

 彼女達は相変わらず同じテーマを選び、それを“写す”と、騒いでいる。教授達はそのことについて何も言わないが、そのまますんなりと行くわけがない。多分、少女が書いた論文と内容が一致していたら、問答無用で落すと決めているのだろう。それだけ卒業論文の価値は重い。

 本当に将来のことを考えれば、その方が何倍もいいだろう。多くの者が懸命に卒論を仕上げているというのに、彼女達は悠々自適な生活を送っている。毎日のように遊んで卒業できるほど少女が通うアカデミーの教授達は甘くはなく、寧ろこのような生徒に対し厳しい処置を行う。
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