エターナル・フロンティア~前編~

「明日は、良い天気だといいな」

「予報では、晴れだぞ」

「予報は、外れると言っていたじゃないか」

「おお! そうだったね」

 カディオは手を叩くと、ゲラゲラと笑う。先程とは異なり、彼はいつもの姿に戻っていた。いつまでも物事を引き摺らない性格はソラにとって有難く、両親のことを聞かれるのは正直しんどい。

「なあ、カディオ」

「何だ?」

「感謝しているよ」

 その何気ない一言にカディオは目を丸くするが、その言葉の意味を理解した時、フッと笑みを浮かべた。そして一言「構わない」と言うと、ソラの首に腕を回し力いっぱい締め上げる。

「い、痛い」

「俺が、お前を裏切ると思うか?」

「……不安」

「ああ、酷いな」

 しかし、本気でそのように思っていない。それを証明するかのように、ソラの髪をクシャクシャにするように撫でる。まるで、子供を相手にするような態度。そのことにソラは身動ぎし逃げようとするも、離してはくれない。

「暑苦しい」

「いいじゃないか」

 このようなことを行っていると、いつもなら拳が飛んでくる。しかし今回は、それはなかった。諦めたのか、それとも――どちらにせよ、カディオは命が救われた。ソラは能力者を理解しているカディオを信頼し、カディオは人間らしい生き方をしているソラを友人と見る。

 互いを知っているからこそ、良好な友人関係を築けることができた。そしてこの関係がいつまでも続くことを、二人は望んでいた。これから先、永遠に――素晴らしい時間が過ごせればいいと思う。
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