ラズベリー


「一応、
地図はあるんですが」


「ひとまず地図見せて」


「あ、はい」



渡された地図を出して、黄色のハナマル印を指で指した。



「…ねぇ、これいつのやつ?」


「……?分かんないです」


「なんだか薄汚いし、
これじゃあ行けないよ」


「嘘!?」


おもわず落ち込んでしまう私。



「仕方ない、近くまで案内するよ」



彼はそう言って、地図を道端に放り投げて前を進んで行く。



「いいんですか?
ありがとうございます。
えっと……」


「香椎 優輝[カシイ ユウキ]。
君の名前は?」


「と…山本 美怜です。」


「よろしくな」



彼はすごく真っ直ぐな瞳をしていた。


まぶしいほどの……。


そして2人は庭園を後にした。

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