不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
「卓巳君、なに考えてんだろ。萌香もだよ……。ホントにそんなんでいいの? 彼女に会うまでのつなぎにされてんだよ?」

「うん……。私、2番目の女でもいいんだ。それでも会いたいんだもん」

「あのさぁ、意味わかってんの?」


私の言葉にイライラしたのか、沙耶は私の手から手袋を奪い取った。


「沙耶、ごめんね。心配かけて」

「別に謝らなくてもいいけど」

沙耶は少し表情をやわらげると、手袋を返してくれた。

そして、そっぽを向いてわざとぶっきらぼうに言う。


「私はさ、萌香には幸せな恋してほしいんだ。私と同じような気持ちを味わってほしくない。それだけだよ……」

「うん、ありがと」


沙耶の気持ちが痛いほど伝わってくる。

私も沙耶も抜け出せない迷路に迷いこんでいる。

ううん。ホントは抜け出せる。

出口がどこかもわかってる。

だけど、あえてわからないふりしてるんだ。


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