不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
だけど、そんな不安を掻き消すような笑顔で和美さんは微笑んだ。
「ありがとうございました。またお越しください」
最後にもう一度頭を下げると、今度こそ本当に去っていった。
それは軽やかな足取りで、彼女の背中にまるで天使の羽でもついているんじゃないかって錯覚してしまうほどだった。
そのうしろ姿をぼんやり眺めながら、手の中にある100円玉をギュっと握りしめた。
「萌香……」
心配そうに横から覗きこむ沙耶。
それもそのはず。私の目からはとめどなく涙があふれて、100円玉を持つ手にポタポタと雫が落ちていた。
「……った……円だよぉ……」
嗚咽交じりでうまく言葉にできない。
たった100円。
そんなもののために、わざわざ追いかけて届けにきてくれた。
こんな寒い中、コートも着ず、あんな薄着のまま……。
手に握りしめていた定規が、慌てて追いかけてきてくれたのを物語っていた。
「ありがとうございました。またお越しください」
最後にもう一度頭を下げると、今度こそ本当に去っていった。
それは軽やかな足取りで、彼女の背中にまるで天使の羽でもついているんじゃないかって錯覚してしまうほどだった。
そのうしろ姿をぼんやり眺めながら、手の中にある100円玉をギュっと握りしめた。
「萌香……」
心配そうに横から覗きこむ沙耶。
それもそのはず。私の目からはとめどなく涙があふれて、100円玉を持つ手にポタポタと雫が落ちていた。
「……った……円だよぉ……」
嗚咽交じりでうまく言葉にできない。
たった100円。
そんなもののために、わざわざ追いかけて届けにきてくれた。
こんな寒い中、コートも着ず、あんな薄着のまま……。
手に握りしめていた定規が、慌てて追いかけてきてくれたのを物語っていた。