不機嫌でかつスイートなカラダ ベリーズ文庫版
あれ?
なんかこういうのって。もしかして……。


「今、ちょっと私にドキドキした?」

「え?」

「だって、いつも私ばっかりなんだもん。たまには、させたいなーと……」

「それは、この後の萌香の頑張りしだいじゃねーの?」


にんまり微笑む卓巳君に、私はゆっくりと顔を近づけて、その唇に触れた。


「チョコ、まだ残ってる?」

「ああ」

「私にも……ちょうだい」

「ん……」


舌が感じたのは、アポロチョコの甘い味。

私達はそれを味わいながらゆっくり溶かしていく。


二層に分かれたイチゴチョコとミルクチョコはまるで私達みたい。

トロトロに溶けて、ふたつの味が混ざりあって最後はひとつになるの。

私は卓巳君のもの。

卓巳君の言葉ひとつで不機嫌にもなるけど、そんな時にはまた私に触れてほしい。

そしてその指で、唇で、溶かしてほしい。


「甘いね」

「ん……」

これからも、スイートな……スイートな……私の体を、たくさん愛して。




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