レンタルな関係。

ドダッ、ダダダダッ!!


畳に響く、大きな音。

と、同時に、


「ぎゃっ! すすすっすみませんっっ」


焦りまくる高い声。


「?!!」

「!!?」


流川も私も。

驚いて同じ方向に顔を向けると。


ふすまの前で、後ろ手に尻餅をついた状態の…仲居さん。


「あわわわわ…ホントにすみませんっ!」


尻餅をつきながら、じりじり後ずさる仲居さんは、真っ赤な顔で。



流川と私。

寸でのところ…って体勢のまま。


目を見開いて、そんな仲居さんを見て固まってしまった。


「あああのっ、声はかけたんですけどもっ。お返事がなかったものですから、いらっしゃらないのかと思いましてっ」


まだ尻餅状態の仲居さんは、着物の裾がめくれちゃってて。


「お食事で、何か苦手なものはあるか確認に来たんですけど…おおお取り込み中なのに、すすすすみませんっ!」


可哀相なくらい…焦ってる…


「ふすま開けたら、その、合体されてたんでびっくりしてしまってっ…」


「……」

「……」


「わ…私、ラブシーンなんて、ちゃんと見たことなんて無くって…そのっ、おお…男の人が女の人に乗っかってるところとか、見たこと無くって」


「……」 

「……」


「これからヤルぞっ!…っていうときに、すみませんっっ!」


「……」

「……」


「どどどどうぞっ、続けてくださいっ! わわ私のことはお構いなくっ…す、すぐに退散しますんどぇいっ」


完全に混乱してる模様…。


「あああ…腰が上がらない…どうしょう…
はっ! 目ぇつぶってますから再開してくんろっ!」


「……」

「……」


「いぃぁ…私がいたら、行為に集中できないですよっ! じゃない、ですよね、ずびばせんっ…ぅぅ…」


焦りながら、泣きそうなんですけど…


流川と私。

顔を見合わせて。


「…ふ」


「ぷ」


突然の珍客に。

驚いたけれど、笑うしかなくて。


それでも…この状況。

ふっ…と気づくと、すごく恥ずかしい。

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