レンタルな関係。
 
これは…もう仕方ない。

正座して。

太ももの上に、流川の頭をのせる。


「ぎゃ…ぎゃぼ…」


自分でやっておきながら、すごい動揺。

く、くそ…早いとこ飲ませちゃお。


「これで飲めるでしょ。は、早く飲んで」


口元にボトルを運んでやって。

目を閉じたままの流川に上から呼びかける。


「く、くちっ、開けろって」

「んん…」


軽く開けられた流川の口。

 
ちょ、やば…

母性本能をくすぐられるってヤツですか、これ。

 
意識してないのに…いや十分しちゃってるけど、胸のなかで別の意味の可愛さが沸いてしまって。

頭を支える手が…

流川の頭がのってる太ももが…

くすぐったい。


「ほ、ほら早く」


薄く目を開いた流川が、ボトルに口をつける。

そっとボトルを傾けると、コクリと動く咽元。

 
う…ちょっと…

可愛いかも。


「もっと飲む?」

「ん」


頷く流川。

コクン…コクン…咽が鳴る。

あああ…口の脇から零れちゃってるし。

 
浴衣の袖で拭いてやる。

はっ! 何してんだ、私っ。

これじゃ、デカイ赤ちゃんじゃないのっ。

 
「も、もういいでしょっ。頭、下ろすよ」


ボトルに蓋をして。

流川の頭を両手で支えて、太ももから下ろそうとしたその時。


「待て」


つかまれた、両手首。


「もう少しこのままいてくれ」


潤んだ目に見つめられて。


「少しでいいから」


水で湿った唇が懇願する。


< 162 / 314 >

この作品をシェア

pagetop