レンタルな関係。

◆これで…いいんだ

 流川が去った部屋。

 自分のカラダを抱きしめたままぼんやりしていた私も、次第に冷静になってきて。


「床…びしょびしょじゃん…」


 ぽつんと。

 出てきたのはそんな言葉で。


「カラダも髪も…びしょびしょだよ…」


 ゆっくり立ち上がって、布巾を取りにキッチンへ向かった。

 寝転がったままのカエルをソファに座らせて。


「ひどいことするね、流川…」


 その頭を撫でて。

 カエルは。

 何にもなかったように、赤い口を開いて笑っている。


 溶けかかった氷を集めてコップに入れて。

 乾いた布巾で濡れた床を拭く。


「…ひぃ…く」


 知らないうちに涙が出てて。

 零れ落ちる水滴が、拭いてるそばから床に染みを作る。


「バカ流川」


 情けなくて。


「アホ、バカ、変態、スケベ」


 言葉にすればするほど、結構楽しかった日々が浮かんできて。


「…ふぇ…」


 バカみたいに涙が溢れてくる。


 こんな終わり方、したくなかったよ。

 せっかく…アンタにも慣れてきたのに。

 壊したくないって、

 思ったのに。


「流川なんか…」


 アンタのために泣いてるんじゃないから。


「キライだよ…」


 こんなひどいことして。


 もう…

 ホントに終わりだ。


 


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