レンタルな関係。
 駅前のデパ地下。

 美味しそうなもの、新鮮なもの、いっぱいあって。


「う…お、重い…」


 気合を入れすぎて、あれもこれも買い込んでしまった私。

 両手に四つのビニール袋。

 瓶物なんかも入っていて。


「やばい…」


 カエルを連れて帰ったときよりも、恥ずかしいかもしれない…

 すれ違うおばちゃんなんかにもジロジロ見られて。


 しかもかなりの重量。

 散々デパート内を歩き回った足も疲れていて。

 立ち仕事のあとにこれは…


「こ…腰痛い」


 デパートを出て駅に向かうも、棒のようになってしまった足と、ズキンと痛む腰に負けた私は。

 
「ちょ…ちょっと休憩していこう」


 大荷物で入るのはかなり勇気がいったけれど、

 駅近くのカフェで休んでいくことにした。


 軽食も取れるカフェ内は、若い子たちで結構込んでいて。

 夕食をとる人や、ちょっと一杯飲んでいく感じの少しおしゃれ目なサラリーマンなんかもいて。


 大荷物を持った私が案内されたのは、一人でもカウンターではなくて、

 観葉植物がちょうど衝立になっているテーブル席。


「ふうぅ…」


 良かったぁ。

 観葉植物のおかげで、店内の人には少し死角になっていて。

 椅子に荷物をどっさりと置いて、私は一息ついて腰かけた。


 アイスティーを注文して、おでこに滲んだ汗をふき取って。

 むくんだ足をさすって。

 10分くらい休んだとき。


 観葉植物をはさんで後ろの席に、案内されてきた人たち。

 店員さんに、アイスコーヒーを二つ注文して。

 
 私はそんなやりとりを、アイスティーのグラスについた水滴をおしぼりでふき取りながら、

 何気なしに耳に入れていた。








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