レンタルな関係。
 流川とあんなことになってから。

 番号どころか、履歴まで消してしまっていた私。


 なんでそんなにムキになってたんだろ。

 流川のこと、気になってる自分を認めたくないから?


 「認めたくない」ってことは、

 「認めた」と同じことじゃないの?


 ううん、それともまた違う。


 「好き」とか「嫌い」とかでもなくて。

 「友達」とか「それ以上」とかでもない。


 要くんともこんなふうになっちゃって。

 だから…

 流川にすがろうとしてるだけかもしれない。




 だけどやっぱり。

 もう一回。


 会いたいんだ、私。

 流川に。



 
 手にした名刺。

 こんなところから出てきた、たった一枚の紙切れ。


「カエル…やってくれるじゃん」


 ま、らぶりー留美には引っかかるけどさ。

 流川とのつながりは、もうここしかないんだもん。


 口を開けて笑うカエルを、もう一度ぎゅぅっと抱きしめて。


「私、行ってくるよ」


 恩返ししてくれてんでしょ?

 私に貰ってもらったことに。

 って、違うか。


 でも。

 せっかく久しぶりに起こしてくれたちっちゃな奇跡。

 無駄にすることない。

 っていうか、できない。


 私はカエルをベッドに寝かせて。

 夜の街に、カラダを放った。




 
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