レンタルな関係。
 

 ひらひらひら…


 サンダルのつま先。

 着地したメモ用紙。


 しばし、じっと見つめて。

 拾い上げる。


「…なんだこれ」


 気づかなかったけど。

 番号の書かれた面の裏側。


「カエルじゃん」


 人間みたいに、片腕で頭をささえて寝転がるカエルのイラスト。

 
「……」


 らぶりー留美の趣味?

 わかんないけど。


 寝転がったカエルは。

 麻紀カエルとそっくりで。

 たぶん、イラスト化された同じカエルだ。

 あのカエル、結構有名だったんだな。

 商品化されてんのか。

 お母さんは嬉しいよ…


 じゃなくて。


「カエル… 番号手に入れたよ。GETしたよ。ふらふらだよ」


 メモ用紙のカエルに。

 報告。

 部屋で、私のベッドで、寝てるはずのカエルに思いをはせて。


「これはもう…」


 そうしろってことでしょ?

 っていうか、そうするしか、ない。


「でもな…」


 こんな時間。

 こんな場所。

 あんな別れかた。

 考えれば考えるほど、不安は募る。


「しかも… 緊張するな、なんか…」


 はああ…

 ため息。


 

 でも。

 
「あ」


 ちょっと、気づいてみちゃったり。





< 238 / 314 >

この作品をシェア

pagetop