大好きなんです
ちらりとまた画面を見るけど、あたしは変わらずに和樹くんに肩を組まれていて……
「………っ」
泣きそう……
あたし、霧谷くんに嫌われちゃった?
他の男の人に肩組まれるなんて……霧谷くんとさえしてないのに……
顔を俯けていると急に大きな扉の音がして体がびくんと震えた。
聞こえたのはテレビの中からで、あたしは顔をあげる。
「………はへ?霧谷くん?」
画面には眼鏡のない霧谷くんがいた。
『おいおい流。眼鏡どうした?男前があがってて夕希ちゃんびっくりしてるぜ』
『うるせー。走って来たから邪魔だったんだよ』
あぁ、うん。少し息切れしてるなぁ……
え?というか今話したの霧谷くんだよね?
敬語じゃない……
驚きの目で見ていると霧谷くんと峰くんは何か話してから、霧谷くんだけがあたしの方へ来た。
『萌』
霧谷くんが呼びかけるとゆっくりあたしが顔をあげる。
『あぇ?きりやくん?』
「!!?」
本当にあれあたし!??
なんか、えぇーーっ!?
『きりやくんだぁ〜』
『っ、萌?』
霧谷くんの名前を呼ぶ声が、自分のものじゃないみたいに聞こえる。
霧谷くんもなんか少し焦ってるし……
はっ、恥ずかしい……!!
『萌、ちょっとその飲み物貸して』
『え〜』
霧谷くんは何かに気づいたのかあたしからジュースを取り上げる。
少し匂いを嗅ぐと微かに顔をしかめた。
『きりやくん。かえしてよ〜』
あたしはジュースに手を伸ばすが霧谷くんはその手を避ける。
『だめ。これ酒だから』
『え〜、違うよ。ちょっと大人のジュースだもん』
『それを酒と言うんです。いいから、もう帰りますよ』
…………えっ!!?