大好きなんです



「へぇー!そうなんだぁ」



にこにこしながらその綺麗な人はあたしの隣に座った。



「ね、名前なんて言うんですか?」


「も、萌です。桃園 萌」

「萌サン。可愛い名前」



にこりと笑顔を向けられて、あたしもつられて笑う。



「えっと、あなたの名前は……?」


「そんなに改まらなくてもいいですよ。萌サンの方が年上ですから」


「そ、そうなの?」



と、年下に見えない……



「あ、ボクのことは今はユウって呼んで下さい」


「い、今は?」


「そのうち分かりますよ」



わ、分からない……


なんかユウちゃんの言うことなぞなぞみたい。


と言うか今ボクって言ってた?


女の子が"ボク"って初めて聞いたかも。



「くくっ……萌サンって、名前だけじゃなくて行動も可愛い」


「えぇっ!?」



何をいきなり!?


こんな綺麗な人に可愛いって言われるなんて……


誉められなれてないので照れてしまう。



「ちょっとからかってもバチは当たらないかな」


「?」



あれ?ユウちゃん、今何か言った?



「萌サン、ちょっとじっとしててくれますか?」


「?う、うん」



きょとん、としてあたしはユウちゃんを見つめる。


それにしても、見れば見るほど綺麗な人だなぁ……


でも、誰かに似ているような……


誰だろう?



そっとユウちゃんはあたしの頬に触れる。



「ゆ、ユウちゃん?」


「それ、結構そそられますね」



ユウちゃんはにこりと笑ってあたしの方に顔を近づける。



え…え……?



何が……?



「何やってんだよ、優(スグレ)」


「あて!!」



ゴン、という鈍い音が部屋に響く。



「いってぇ……何?ヤキモチ?」


「うるせーよ」


「うわ、マジですか〜」



ユウちゃんはケラケラと霧谷くんを見て笑う。






< 59 / 212 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop