蜜は甘いとは限らない。【完】




「…まぁ、まだマシかな」






着替え終わって試着室の中にある全身鏡で自分の姿を見る。



別に自分の容姿がそこまで不細工な部類に入らないことは、分かってるから多少派手めでもいいか。

まぁ、ちょっと寒いのが嫌だけど。




「お着替え終わりましたか?」

「ええ、」

「では、お服はこちらにお預かりします」

「よろしく」





ポツリ、呟いた声に気付いた店員があたしに一言問いかけ、返事をすればカーテンが開いた。



試着室から出て脱いだ服は店員に渡し、袋に入れてもらった。





「ありがとうございました」




深々と頭を下げている店員を横目に、お店を出て呼んでいたタクシーに乗る。





「どこまでですか?」

「…嵐川コーポレーションまで、」

「分かりました」




< 91 / 279 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop