無口な上司の甘い罠
6.月日が経つのは早いもので
…それからは、お互い、仕事だけに集中して。

約束の3年が来た。

…それなのに、瀬名からは帰ると言う言葉が全く出てこない。


…もしかして、このまま北海道にずっといるつもりなのか?

そんな不安が押し寄せる始末。


「お前の考えすぎだって」

そう言って肩を叩いてくれるのは隆盛。


「…だって、たまに帰ってきても、全然そんな素振りすらないし」

そう言ってうな垂れる私。



「・・・ちょっと、2人とも近すぎはしませんか?」

そう言って怒っている女子社員が一人。


「…またお前か、矢代」

そう言ってあきれ顔で矢代と言う女子社員を見下ろす隆盛。


「あら、真紀ちゃん、ゴメンね、隆盛を取ってるわけじゃないから」

そう言って弁解する私。


・・・矢代真紀ちゃんは今年の4月から入った新入社員。

小さくてかわいらしい容姿、でも。

何でもハッキリ言うしっかりした女の子。

…もうお分かりだろうが、真紀ちゃんは隆盛が好きだ。

大好きで仕方がない。私が隣にいる事さえ、ヤキモチを妬く。
< 135 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop