無口な上司の甘い罠

★一方通行で一途な恋心

「隆盛おはよう」

いつもより、声のトーンの高い、今日子の声。

「おはよ」

オレはいつものように笑顔で挨拶を返す。

先に仕事をしていたオレは、挨拶だけをして、

パソコンを打ちはじめた。


「隆盛、この資料なんだけどさ」

「・・・どれ?」

資料を差し出した今日子から、オレの好きな香りが漂ってくる。

甘いのにしつこくない香り。

今日子にピッタリだと思うその香りの正体は、香水なのか?

それとも柔軟剤なのか?


「あぁ・・・これはな」

「うん・・・うん・・・」

説明をしていると、今日子は真剣な顔で聞き入っていた。

・・・この顔も好きだ。

綺麗な顔が更に凛として見えるから。


「わかった、流石隆盛、ありがとう」

そう言て満面の笑みを見せた今日子。

「いや、これくらい」

・・・その笑顔が、今日子の顔の中で一番好きなんだよ。

綺麗な顔が、可愛らしく変わる瞬間。

この笑顔にオレはやられた。
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