お見合い 宏太朗 Ver

「いや、ただ庭園を歩きたいだけなんだよ」
「は？」
「いや、そこは突っ込むな！俺はうまく説明できないから、どうしても聞きたいなら今度俊にでも訊いてくれ」
「あ？ぁあ」
「まぁ、それでだ。どんだけ探しても相手はいなかった。てかいるわけねぇんだよ。結婚したいわけでもないのに見合いなんてする馬鹿いねぇだろ？だからもうお前しかいないって事になった」

・・・・なった？

「それ、どうしてもしなきゃいけない事じゃないんだろ？」
「・・・ただのあいつの夢だ。まぁ俺らからの研修のご褒美」

ご褒美？・・・俺で？
どんな人間なんだ？
我儘？

不思議系？

全く理解できない。


何て返せばいいのかもわからず、取り敢えず最後のサンドウィッチを口にする。

明日見合いに行かされるから今日は泊りになったってことか。
なんて今更な事を考えていれば、梓の家の扉が開いた音がした。

誰かが帰って来たのだろうと思ったら、リビングに俊介が現れた。