絶体絶命!死のバトル






「…奪わないで…。……私を探して…」







奪わないで…??

私を探して!?

どういう事…?




それだけ言った水川穂乃は…。

一瞬のうちに、いなくなった。


「うっ…み…道香、大丈夫?」

さっきのシーンが余程キツかったのか、明日美は泣きながらあたしに寄った。

「…ありがとう、大丈夫だよ。…無理して励まさないでいい…から…。」

明日美が、誰よりも怖がりで、誰よりも泣き虫で、誰よりも強がりなのは知ってる。

人一倍、優しい事も。

だから、慰めてくれたんだよね…。

本当に、ありがとう…__


「明日美も、伊織も……。青斗も広也も、大丈夫…?」

あたしが言うと、伊織はコクっと頷く。

青斗と広也は…。

「ぜ、全然平気…だ……、ぞ?だろう、広也…?」

「おっ、俺も全然怖がったりしてないぜ?そ、そう言う青斗だって声震えてんじゃねーかよっ…」

「い、いやっ!声が震えてるのは広也だけだろっ」

…なーんて言い合いしちゃってる。

どっちも、怖がってるくせに。

「あ…道香は、怖くないのか?」


広也が、あたしに聞いた。

「そうだよ!水川穂乃に迫られてたでしょっ?」

と、明日美。
“怖い”かぁ。

「んー、あ、勿論怖かったけどね。それは水川穂乃が迫って来る間だけでさ。今は水川穂乃が言った言葉の意味を考えるだけで、いっぱいいっぱいな感じ。」

「…?水川穂乃が何か言ったのか?」

「うん。“奪わないで。私を探して。”だって。…正直訳わかんないだよね。」

あたしは、これに関しては本当にお手上げ状態だった。

私を探してって言われても、もう水川穂乃には会える訳だし。
探す…には、当てはまらない気がする。

奪わないで…って、何をなのかも分からない。


…本当に、何なの……?




< 77 / 218 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop