金糸雀達とお茶会を

「…依頼人が来ぬ…！暇じゃ…恭助、茶のおかわり」
少しいらいらとした様子で、先程まで紅茶が入っていたのであろうティーカップを隣にいた青年に差し出しつつ、縦ロールの髪と深い赤茶色の瞳を持つ15、6歳程の少女が口を開く。
顔に似合わず、古風な口調だ。

「はいはい、おかわりね。」
恭助と呼ばれた隣にいた茶色の髪と髪と同じ色の瞳を持つ青年はそんな少女の様子にくすり、と軽く笑みを零して
ティーカップを受け取ると立ち上がり、近くにあったティーポットを手に取る。
そしてこぽこぽ…とカップに紅茶を注いでいく。
部屋に漂っていた甘い香りが、いっそう濃くなる。

そして紅茶を注いだカップをまた先程の古風な口調の少女に渡す。
「そんなにイライラしなくても、そのうち依頼来るって」
だから落ち着きなよ、と付け足すように言うとにこり、と軽く微笑んだ。