【完】籠球ロマンティック
自分で操った顧問の情けない後ろ姿にひらひら、と手を振った美鶴に、虎次郎が駆け寄る。


「いやーマジ助かった!美鶴姉さんの色気にはなんかご利益ありそうだわ」


そう言って合掌し、上下に擦り合わせる虎次郎を、美鶴は冷たい切れ長の瞳で一瞥する。


「あらやだ勘違いしないでくれる?私はあのオッサンの『ちゃらけた集団』っていうのに腹が立っただけだから」


美鶴は飄々と言い放つと、顧問がパイプ椅子に残していったiPhoneの画面を、星座の神話の女神のような甘やかな表情で見つめる。


そこには丁度、虎次郎と、スネイク・オーバドゥの最年長にして、一番幼い容姿の青年の姿があった。


「あれ?美鶴姉さんと俺、恋愛フラグ?」


「いやいやナイナイ。美鶴からグッジョブ貰ったことねーべや」


虎次郎と佐久間がふざけたような会話をしてる間に、美鶴はそのとろけた表情で呟いた。
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