【完】籠球ロマンティック

タイフーンを乗りこなせ

長いようで短かった月日を経て、俺達の暴れる舞台が幕を開ける。


「えー、それじゃ普通過ぎて嫌よ」


「逆に普通じゃない円陣って何なのさ。おっちゃん若い子にはついてけないよ」


「あ、ソフトクリーム、おいしそ」


なのに……いつも通り過ぎるというか、会場の外でも、スネイク・オーバドゥの面々は怖いくらいに通常運行。


リッコとハーシーは円陣組んだ時の掛け声を真剣に話し合っていて、それにお構い無しのマカロンは、ハーシーの服を引っ張って季節外れのソフトクリームをねだっている。


俺はこの光景に、いつも通りにため息を漏らし、トーナメント表を見た。


「何だラブ、お前だけみだいじゃん、緊張してんの」


引率で来ていたイツは、通常運行の三人と俺のテンションの差を感じ取り、軽めに笑いながら声をかけた。


「あのな、全員お気楽だったら締まらねぇっしょ?」


呆れ声で言い返すと、イツも『確かに』と笑ったまま隣に並ぶ。
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