イジワル上司に恋をして
「そんな顔、するな」


【ありがとうございます。もう少し、時間をください。改めてまた、連絡します】


この前来ていた西嶋さんのメールには、あの後そう返信した。


気持ちは、きっともう……ううん、確実に向かってる。……アイツに。
だけど、メールでは伝えきれないし、第一うまく伝えられるとも思えないし、失礼だし。
もう一度だけ西嶋さんには直接会って、きちんと話をしようと思った。

ただ、どうしても今すぐにはそういう時間も取れなく、気持ちも集中出来ない気がしたから……。

わたしの気持ちが届くのかどうなのか。それがわかるまで、とは言わない。せめて、吉原さんのことが落ち着くまで。
それは、きっとそんなに時間も掛からないことだと思ったから。


修哉さんと別れて、そのままふらふらと適当に時間を潰し歩いた。
すっかりと陽も落ち、時刻は午後の8時過ぎ。

いつもなら閉店作業も終わりそうな時間で、数十分後には帰り支度をしている頃。
そして、一時間もすれば、おそらく黒川も帰る時間。


……残業とか今日に限ってなければいいけど。


心で呟き、裏口が見える位置の建物に身を隠す。

パラパラと従業員が帰宅していくのをその場から見つめ、時間が過ぎていく。
だんだんと待ち疲れて気を緩ませていたときだった。


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