True Love
そしてお母さんに怪我のことを話して病院で診てもらうと、軽い捻挫だということで湿布をもらって終わった。



次の日、改めて柴崎くんにお礼を言わないと、と思って意気込んで来たのはいいのだけど…。

朝、いつものように早く来たけれど柴崎くんはまだ来ていなかった。

柴崎くんに慣れていないせいだろうか、意気込んで行くと変に緊張してドキドキしてしまう。

ただお礼を言うだけだというのに。


教室のドアが開く音がするたびに振り返るけど、柴崎くんではない。結局、柴崎くんが来たのはかなり遅刻ギリギリな時刻だった。


朝礼が終わったあとに勇気を振り絞って柴崎くんのもとへ行く。

「し、柴崎くん」

そう私が声をかけるとびっくりしたように少し目を見開いていた。

「昨日は、本当にありがとうね。別方向だったのに…」

「…いや、別に」

いつものようにぶっきらぼうな言い方。だけど、心配そうな目をして言った。

「怪我は、大丈夫だったのかよ…」

「う、うん!ただの軽い捻挫だって、なんか、お騒がせしました」

へへっと笑うと、柴崎くんは少しだけ柔らかい笑みを浮かべて「よかった」と言う。

あ、初めて私に向けて笑った…。


この一件から私の柴崎くんへの印象は少し変わった。ぶっきらぼうでちょっと怖くて関わりづらい人から、実は優しい人なんだと。
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