True Love

想い人

柴崎くんが家に来てから私たちは会ったときに挨拶をするくらいの関係になった。

たったそれっぽちだと呆れる人もいるかもしれないが、私にとっては挨拶ができる関係になれたというだけで幸せな気持ちになれる。

女子という認識をされていないがためのこの現状なのかもしれない。だけど私はポジティブに考えていこうと思う。

女子という風に意識されてなくても、他の女子たちよりは親しみを持ってもらえてるというわけなのだからいいじゃないかと。

私たちが挨拶を交わしている場面に遭遇した杏ちゃんは楽しそうに笑っていた。

それに対しては、なんとなく他の誰かに打ち明けるのが恥ずかしくて「同じ図書委員なだけだからね」と誤魔化しておいた。その言葉をただ鵜呑みしてくれたような感じではなかったが、重ねて否定するのも肯定してるも同然だと思い、話題を逸らす。



好きな人がクラスにいるというのは私にとってとても新鮮なものだった。これが初恋なのだから当然と言えば当然なのだが。

同じクラスならば、会える回数だって多い。体育で活躍している姿だって目にすることができる。友達に見せる笑顔だって盗み見れる。

好きな人が同じクラスにいるって、なんて幸せなことなんだろう。学校に来るのが楽しみでしょうがなくなる。

ああ、自分ってこうやって少女漫画の中の女の子みたいに恋をすることができるんだ。本当にこんな胸躍ることってあるんだ。



そんなこんなな感じで学校生活を過ごしていると、夏休みまであと1週間という日の6時間目のLHRの時間に席替えをすることになった。
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