クローバーの起こしたキセキ





お母さんは私からの告白を聞くと、部屋で話そっかと言って寝室へ向かう。
お母さんが躊躇うように言う。




「麻美、聞いてくれる?・・・・・実は麻美のお父さんは死んでないの、多分何処かで元気に暮らしているわ」




私はお父さんが生きて居ることは聞いてしまって知っていたけれど、何も言わずに話を聞く。




「お父さんが死んだって言ったのは麻美のため。
お父さんは毎日毎日お酒を浴びるほど飲んで、帰ってくるのはいつも明け方だった。
だけど収入は安定していたしお母さんも軽く注意するだけだった。
これは麻美が一才くらいの頃」




あぁ、お父さんはお酒が大好きだったっけ。
お母さんがよく言ってたもんな、小さい頃。




「だけどある日を境にずっと帰ってこなかった。
一ヶ月も帰ってこなかったけど、お父さんが会社の出張って言ってたから微塵も疑わなかった。
麻美が二才になる誕生日、お父さんはなんの連絡もなしに家に帰ってきた。
玄関で酔いつぶれてたからスーツを脱がせてあげて水を持ってこようとしたの」




ここからどうなるのかはだいたい想像出来た。
まさかとは思うけど、ね。






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