Wonderful DaysⅡ


今日もイギリスは寒いけれど、今の私の心はポカポカとしていてとても温かい。

辺りを見回せば、クリスマスから一夜が明けて、眠っていた街は再び活気に溢れていた。

ふと、前から歩いて来るカップルを自然と目が追ってしまう。


───他の人達から見たら、私達もあんな風に見えているのかな……


仲良さそうに寄り添う二人は、とても素敵な恋人同士に見えた。

それを見送りながら、二人並んで歩いているけれど


「これから、何処に行くんですか?」


迷う事無く歩を進める魁さんは、何処に向かっているのだろうか。

イギリスに住んでいた頃は車の移動ばかりで、歩いて出掛けると言ったら近所の公園だけだった私には、此処が何処なのかさえ全く分からなくて。


「何処って……此処」


「え?」


魁さんが足を止めて指差した先に視線を流せば


「此処は……」


目の前に建つ大きな建物に視線が釘付けになった。


< 169 / 278 >

この作品をシェア

pagetop