Wonderful DaysⅡ


「……温かい」


ホッカイロで暖を取りながら、並んでいる行列を進んで行く。

首が痛くなるくらいの高さの大伽藍を見上げると、寺院と言うよりは城砦と言った方がいいんじゃないかと思うくらい圧倒される建物。

褐色の外壁、剣山のようにシャープな数々の塔、肋骨のように左右に張り出している梁などのいかめしさ。

建物内に入って進んで行けば、寺院のアーチ屋根を支える高い石柱が林立している。

壮大なアーチ天井に、正面には大きな縦長のステンドグラスの美しさに息を呑む。


「ほら、ボーっとしてると迷子になるぞ」


見上げていた視線を前方に向ければ、マーク兄さんが私を見て微笑んでいた。


「……迷子」


なるかもしれない。

早い時間に並んでいたのに、観光客が多いのか座れる席はかなり限られていて、まだまだ列に並んでいる人が沢山いた。


「ほら、席に座るよ」


アル兄さんに手を引かれて、空いている席に腰を下ろすと無意識に息を吐く。


それから、静かに礼拝が始まるのを待っていた私達。

そして、礼拝開始30分前……

かなり離れた席に、信じられない人物の姿を視界に捉えた。


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