記念すべき、100回目のキス
「おじゃまします」


玄関の靴を見る限り、今この家には、私とアキしかいないようだ。


もう何度アキの家に来ただろうか。


「お茶しかなかったー。
ふー。あっついなあ」


制服のポロシャツをぱたぱたとさせ、君のお腹が顔を出した。

意外と筋肉もあるんだよね、と不意に思う。


目の前に、麦茶が置かれた。


「いいよ。
夏はやっぱり麦茶でしょ?」


「そうだね」と言って、君は扇風機のスイッチを入れた。


涼しい風が時折、頬に触れ、さっきの暑さを忘れかけていた。


私は二口、麦茶を飲んだ。


何故か君はその光景を、じっと見つめてきた。


飲み終えて、首を傾げると、君の顔が迫ってきた。


この感じはキスだな、と思い瞼を閉じる。





いつからだろう・・・・・・。


こんなにキスが当たり前になって、
1つの行為になって、いちいちドキドキしなくなったのは。


まるで暗黙の了解のように、キスはデートの帰りだけだと思っていた時期もあったのに。


1日に数回するのが普通になって、
歯もぶつからなくなって、
目を閉じる顔がきゅっと怯えたようにならず、
唇に力が入らなくなったのは、
いつからなんだろう・・・・・・。





君と何度キスをした?


私は今、その答えが分からずにいた。


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