Sweet*Princess



「嫌いなわけじゃないよ。血の繋がった弟だしね?……ただ、……」



次の言葉を聞いた瞬間、心臓が凍り付いた。



そして荒々しく塞がれる唇。



二度目のキスは、甘さも、愛情もあるわけがない



ただ、伝わってきたんだ



雅斗さんの



悲しみ



苦しみ



壱斗への複雑な感情




受けとめるには大きすぎる



雅斗さんの心の傷




















“あいつが幸せになるのは、許さない”








私の唇の端から流れる二人分の唾液を指で拭って


妖艶に微笑んだ。



「二人の関係潰すなんて簡単だよ?俺が動けばね」



雅斗さんが、動けば……?



「……壱斗の心の傷の原因は




俺なんだ」










雅斗さんは



本当は優しい人だよね?



だってほら



今も泣きそうな顔してる。




私にはまだわからないけど


壱斗の心の傷の原因が雅斗さんなこと


雅斗さんはすごく悲しんでる。



頬に添えられたままの雅斗さんの手を


私はそっと握った。



「雅斗さんはそんなこと、できないですよね?」



*
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