Sweet*Princess
8sweet*冷たい瞳

1*次男の影




「壱斗〜帰り、ゲーセン寄らね?」


部活終わり、妙にご機嫌な尚が声をかけてきた。


……こういう時の尚は多少欝陶しいからシカトシカト。



スタスタ歩き出した俺に、尚はまだ何か言っていたけど


すぐに諦めたのかマネージャーの女の子に声をかけていた。



……てか、お前彼女いるじゃん。


ま、いっか。




今日は参考書を見に本屋へ行く予定。


本屋へ行く途中、見慣れた後ろ姿を見た気がした。



「史兄……?」


驚いて、二度見してみてもやっぱり史兄で。



え、なんでこんなとこに…


だってここは





ホテル街。


史兄には似合わない場所。




よく見ると、隣には史兄に寄り添う女性がいた。




え…………




なん、で…………




軽くウェーブした髪


すらっと伸びる白い足



そう、それは


あの日よりもずっと大人になった彼女で。





カタン


音を立てて俺の手から鞄が落ちる。


その音に史兄が振り向いて、立ち尽くす俺を見て









笑った。



そして、彼女の手を引き、ホテルに入って行く。



なんで?どうして?


心臓が嫌な音を立てる。



あの後ろ姿は、絶対に







「咲華さん…」



見間違うはずのない、彼女の背中。



*
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