Sweet*Princess


「史斗は頭のいい子に、明斗は明るい子になってほしいってね…」


あの人達の名前にそんな願いが込められているなんて…


お父様とお母様の愛情が伝わってくるようだった。



「壱斗は……たった一人の大切な人に巡り合ってほしい。いっぱい恋なんてしなくていい。ただ一人の人を愛し続けてほしい、そう思ったの」



恋が叶わなくても……、とお母様は付け加えた。



「願ったように育ってくれたわ、みんな」



壱斗は、一途で真っ直ぐで不器用な人。


そんなこと、わかっていた。



わかっている、つもりだった。



本当の彼を、私は見失った。




「実はね、壱斗の婚約者候補、あなたを含めて4人いたの」


初めて知る事実に、驚きを隠せなかった。


それって………




「写真を見せたら4人の中からあなたを選んだ。“この子がいい”って、はっきりね。驚いたわ。あの子が“欲しい”ってはっきり意思表示したのは初めてだったから」



私は、壱斗をすごく傷付けたんだ。


壱斗は全部真剣に言ってくれていたのに。


押さえられない胸の痛みの原因が、少しずつ少しずつ、見えてくる……



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