私は男を見る目がないらしい。
 

「私ね、朔太郎が感じてる以上に、朔太郎のことが好きなの。離れたいなんて思わないし、ずっと一緒にいたい。朔太郎に触れられるのもすごく好きなんだよ?朔太郎言ってくれたけど、私だってすごく幸せ感じてるから。……私の中は、朔太郎のことでいっぱいなの」

「……」

「……好きだから、触れてほしい」

「……うん」

「……って、恥ずかしい……」

「何で。俺嬉しすぎて、すっげぇ泣きそうなんだけど」

「泣くって、大袈裟な……、ひゃっ」


手を引かれてふわりと抱きしめられる。


「あーもう。死んでもいい。」

「は?」

「いや、やっぱり死にたくない。美桜残してなんて、死ねない。」

「……ねぇ、朔、大丈夫?」


飛び出してくる物騒すぎる言葉に、ご乱心だろうか……、と不安になってしまう。

朔太郎の背中に手を伸ばして、ぽんぽんと子供をあやすように軽く叩く。

腰に手を添えられているくらいで強く抱きしめられていないから、朔太郎の顔を見上げることができる。

……気が抜けているらしい朔太郎は何だか情けない表情で、つい笑いそうになった。

 
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