私は男を見る目がないらしい。
 

「……こんなに綺麗になって、胸も育ってるし、感じやすくなってるし、エロくなってるし。俺と付き合ってた頃と全然違う」

「!!ばっ、バッカじゃないのっ!?」


しみじみと言われて、私は力の抜けきった身体を必死に立たせながら、できる限りの声を出した。

こんな場所で胸が育ったとか感じやすいとかエロいとか言うな!

そもそも、胸揉んだりキスしたりするな!


「だって、今の美桜をそうさせたのは俺が知らないこの8年の間に美桜と付き合ってきた男だろ?あー、超悔しい」

「!!」


声が本当に悔しそうで、私はもう何も言えなかった。

確かに真実はそうかもしれないけど……そんなことを考えてしまう男って、すごくバカな生き物なのかもしれない。

女を捕まえるために、本能的にそういうところで競いたいものなんだろうか?


「でも」

「……?」

「もう、これから先は俺が育てるし。ぜってぇ、美桜のことは誰にも渡さねぇ」


……何だ、それ。意味わからん。

育てるって、私は朔太郎のペットでも何でもないのに。

 
< 36 / 278 >

この作品をシェア

pagetop