私は男を見る目がないらしい。
 

手首を絡め取られてしまって抵抗もさせてくれず、暫く味わうように唇を貪られた後、唇を離して朔太郎はにっこりと笑った。

すっかり脳みそを溶かされてしまって力の抜けた私は、朔太郎の胸に身体を預けた。

そんな私を朔太郎の手が優しく撫でる。

気付けばいつも私だけが朔太郎に振り回されてる。

負けっぱなしですごく悔しい。

ゆっくりと朔太郎の顔を見上げると、朔太郎がにこっと私に笑いかけ、口を開く。


「……美桜とずっと一緒にいたくてさ」


……ほら、また。

甘い言葉と表情で私を戸惑わせるんだから。

ほんと、敵わないんだもん。


「……その言い方、ズルくない?」

「ほんとのことだし。だから、な?一緒に住も?美桜」

「……もう。ほんと、朔太郎は勝手だよ」

「くっ。でも、好きだろ?」

「……バカ」


はぁ、と大袈裟に溜め息をつきつつ、私は朔太郎の背中に腕を回してぎゅっと抱きついた。

一緒にいたい、と好きな人に言われて嬉しくないわけはなくて。

私はそのまま流されて、朔太郎と一緒に住むことにしてしまった。

 
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