私は男を見る目がないらしい。
 

「……あれ?相原さん」

「え?あっ、三浦さん!こんにちは~」

「うん、こんにちは」


ばったりと三浦さんに出会った。

休日仕様の三浦さんは会社で見る以上にほわっとした雰囲気を醸し出している。

その手にはビニール袋が握られていて、外での買い物から帰ってきたようだった。


「あ。ちょうど良かった。これあげる。月曜でも良かったんだけど、ちょうど会えたし。はい」

「え?」


三浦さんが差し出しているのは、私が好きなチョコレート菓子だ。


「わっ、サショの柚風味って、新製品じゃないですか!テレビで観て食べたいと思ってたんですよ~。ありがとうございますー!」

「いえいえ。喜んでもらえて良かった。見た瞬間、相原さんのこと思い出してさ。ほらよく“サショサショー!”って騒いでるから」

「え?あれは私一人だけじゃないじゃないですよっ」

「そうだっけ?相原さん一人だと……って、あれ?へぇ~相原さんやるなぁ」

「えっ?……あ!」


三浦さんの視線が私から外れたと思えば、朔太郎を捕らえてニヤニヤしている。

な、何か照れる……!

 
< 65 / 278 >

この作品をシェア

pagetop