私は男を見る目がないらしい。
 

「どうしたの、急に機嫌悪くない?」

「……べっつにー。」

「……は?何?意味わかんないんだけど」


急に機嫌悪くなられても、何が原因なのか言ってくれないとどうしたらいいかわからない。

ちょっとイラっとしてしまった私は、朔太郎の急所である脇腹をつんっとつついた。

外だし、かるーく。

……なのに。


「うへっ!?アホっ、何すんだよ!?」


思った以上の反応をされて、怒られた。

でも、やっとこっちを向いた。

私はべーっと舌を出す。


「朔太郎が悪いんでしょー。勝手に機嫌悪くなってさぁ、意味わかんないんだもん!」

「……美桜のアホ。」

「はぁ!?何なの、いきなり!」

「俺というものがいながら……」

「は?」

「……誰だよ、今の」

「え、今の?会社の先輩だけど」

「……は?先輩?……ただの、先輩か?」

「え、そりゃ……」


少し唇を尖らせ窺うように聞いてくる朔太郎に、私は1つの推測が頭に浮かんだ。

……うそ。もしかして……。

 
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