恋物語。




そ…そんな顔で“ダメ?”なんて聞かれたら…っっ




「……ぃ…いいです、よ…」




拒否なんて、できなくなっちゃうってば…。




「ほんとに…?ありがとう。」


ふっと顔が綻び喜んだような表情をした彼は私から眼鏡を取りベッド脇にあるテーブルにそれを置いた。



「あ。」



「っ…」


ぼやけている視界の中、彼の手が私の頬に触れる。



「こっちの方が、もっと可愛い。」



「////…」


輪郭は、はっきりとしないけれど彼は優しく微笑んでいるような気がする…。
そしてその言葉に…私は、やっぱり照れてしまう。



「でも…、」



「え?」



「俺以外には見せないでね?」



「……??」




それって…どういうこと…??




彼の発言に頭の中には?がいっぱい浮かぶ。それが顔にも出ていたのか…



「分かってないみたいだから言うけど…そんな可愛い顔で街なんて歩かれちゃ…変な虫がいっぱい寄ってくるに決まってる。」


両肩を掴まれて輪郭がはっきりとする位置まで顔を近づけてきてそう言われた。
今の彼の表情が…すごく真剣な目をしているのことがはっきりと見て分かる。



「そ、そんなこと…あり得ない、ですよ…」


言いながら顔を背ける。




だって、そんなの…絶対にあり得ない…。


今まで、っていうか…ついこの間まで告白なんてされたことのないこの私が…眼鏡を取っただけで激変するなんて…そんなの机上の空論でしかないに決まってる。

そうだ…井上さんは私よりお酒を飲んでいたから少し酔っているんだ。だからそんなことがスラスラと…っっ
って、そう考えたら…私のことを“好き”って言ってくれたあの時も…酔った勢いでつい…ってこと…??





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