恋物語。



【another side】



―朝方。


ふと目が覚めて隣で眠る彼女の寝顔を見る。



「…ふふ。」


その顔が本当に可愛すぎて思わず笑みが溢れてしまい彼女の髪に触れた。



『可愛い…』


彼女が起きないように小声で呟く。




けど…何で今日、彼女が“あんなこと”を言ったのかが…俺には分からない。

前に同じような場面になった時は俺も彼女も酒が入っていたせいもあるのか…
泣く彼女の姿が堪らなく愛しくなって…あとは勢いに任せてしまったっていうか。


それでも俺は…その時の行為を悪いだなんて微塵も思ってなどいない。
なぜなら…俺は本当に彼女のことが好きだから。


彼女に初めて会った時“一目惚れしたみたい”そう言ったけれど…
俺は初めて会う前から彼女のことを知っていた。


って言っても…写真で、だけど。




あれは…もういつのことだっただろう…?



後輩である純也と、その彼女・沢松さんが昼休憩に仲良く彼女の携帯を見て何やら話をしていた―。





『…何見てんの?』


それが何か気になった俺は二人の後ろから携帯を覗くように近づいた。



『あ、井上さん。お疲れ様です』



『お疲れ様です』



それに気づいた沢松さんと純也が俺に振り返る。



『お疲れさま。で…二人して何を見てたの?』



『え?あぁーこれです。』


彼女はそう言って俺に携帯画面を見せてくれた。



『ん…?』


その画面には彼女、と…眼鏡をかけた可愛らしい顔をした知らない女の子が写った写真が映し出されていた。



『この子、は…?』



『私の友達、っていうか親友なんです。私と同じ歳なのに未だに彼氏が出来たことがなくって…だから純也に誰か良い人がいないかを相談してたんですよ』



『へぇ…そうなんだ』




彼女と同い年ってことは…4つ下…?ってことか…?





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