恋物語。




「ほら早く。……キスしますよ?」



「えぇ…っ!?!?」


と思ったら次は…クールな表情に変わる。




な…何なの、この人…。ギャップがありすぎる…。って、っていうか…っっ




「しっ……慎一、くん…っ」


徐々に近づいてくる彼の名前を呼んだ。



「…はい。よくできました。」


彼…慎一くんはフワッと笑ってそう言うと私の頭を撫でて元に戻った。



「っ…」




な、何だろう…?聡さんより大変かもしれない…。




「…あ。っていうか徳井さん、いつから撮ってたんすか?」




え…?




彼がカメラマンに向かって言っていたから私も正面を向く。



「え…?今のやり取り全部。」



「っ…!!」




う、嘘…っ!?今のこれ…全部写真に撮ってたのー…!?




「お陰でいいのが撮れてると思うよ?」



「なーんかそれ照れますってばー。ねぇ、知沙さん?」



「え…?あ、うん…」



「じゃあ、その調子でお願いしまーす」



「はーい」



「……。」




こんな人が本当に彼氏だったら…毎日振り回されそう…。




「ねぇ知沙さーん。俺って…誰かに似てると思いません?」



「え…?」


慎一くんはそう言うと私に振り返る。




誰かにって……あ!




「MATのMASUくん!?」




MAT(マット)とは…今、大人気の男性アイドルグループ。

グループ名は…メンバーのMASU(ます)、AOI(あおい)、TETSU(てつ)の3人の頭文字から。
TETSUくんは男気が溢れるかっこいい人で、AOIくんは何事もそつなくこなすオールマイティイケメン。
そして慎一くんに似ているMASUくんは…とにかく可愛い。女の子が負けちゃうんじゃないかってぐらい。





< 53 / 148 >

この作品をシェア

pagetop