恋物語。



【another side】




「ん…」


目が覚めると…ベッドに横たわっていた。
そこは俺のよく知る…自分の寝室。



「……」



昨日は、どうやって帰ってきたのか覚えていない。
ただ覚えているのは…純也たちに強制的に飲み会に連行されたこと。


って…そんなことより大事なことが…―。




「…!!」


“それ”を思い出して慌てて寝室を飛び出した。




「ぁ…聡さん。おはようございます。」


すると…ダイニングテーブルに座る彼女が笑顔で俺に振り返る。



「おはよう。てか知沙…昨日は本当にごめん!せっかく知沙が泊まりに来る日だったのに…帰ってきたことすら覚えてなくって…」



「……やっぱり…覚えてないんだ…」


彼女に申し訳なく謝ると…顔を伏せて小さく呟く。



「え…?」



「ううん、何でもありません。聡さん…ソファーの方、座って下さい。」



「…うん。」


再び顔を上げた彼女は明るい表情でそう促し俺はそれに従う。



「……はい。お水です。」



「ありがとう。」


隣に座った彼女が水の入ったグラスを差し出す。
それを手に取り口へと運んだ。



「昨日は…純也くんが聡さんを、お家まで送ってくれたんですよ?」



「え…純也が…?」


彼女から聞かされた話に驚く。



「はい。で…お互いにビックリにしちゃって…ちょっと可笑しかったです」


そう言って目を細めて思い出し笑い。



「……」




そっか…まだ純也には言っていなかったからな…。




「それで…純也くんから、いろいろ聞きました。」



「え、何を…?」


知沙の発言に俺の心は焦り出す。





< 80 / 148 >

この作品をシェア

pagetop