恋物語。



――――――…。




―彼女から“あんな話”を聞かされて…早数週間。



あの夜から何回か電話をかけても…彼女は出てくれない。
それに…メールを送ってみたって返事はなし。


“頭の整理をしたいだけ…”彼女は確かにそう言った。
それって、どういうこと…?何があったっていうんだよ…。





「あ…」


会社の廊下を歩きながら彼女のことを想っていた時…
彼女の“親友”である後輩の姿を見つけた。



「あ、井上さん。お疲れ様です。」


向こうも俺に気づいたのか少し駆け寄ってきてそう言う。



「…お疲れさま。」




そうだ…。彼女に聞けば…何か分かるかもしれない…。




「ねぇ、沢松さん。」



「はい?何ですか?」



「最近……知沙と連絡取ってる?」



「知沙ですか…?まぁメールぐらいならしますけど…どうかしたんですか?」


そう言う沢松さんの顔色から伺うに…彼女は“このこと”を話していないのだと察した。



「あ、いや…最近、元気がなかったみたいだからさ…沢松さんなら何か知ってるかなぁ…?って思って。」



「え…そうなんですか…!?じゃあ…電話して聞いてみます。知沙が落ち込んでるなら私も心配だし…」



「うん。そうしてあげて…?それじゃあ。」


俺はそれだけを言い残し、その場を立ち去った――。





知沙…知沙は今、何を思ってる…?



俺は毎日…知沙のことが頭を駆け巡ってる。


こんなの女々しいって言う人がいるかもしれないけど…
それでも俺は…知沙のことしか考えられない―…。



こんなにも誰かを好きになったのは…キミが初めてだよ…。




ねぇ、知沙…。



ほんの少しでもいいから…声を聞かせてくれないか…―?






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