泡沫幻夢-ウタカタ-


 不意に夜空を見上げて、息を飲んだ。




 「紅い、月……」




 普段の月なら、金色乃至、黄色という表現がしっくりくるだろう。


 けれど俺の視線の先の月は、紅い。


 まるで、血を滴らせたような紅い月が、真っ暗の夜空に相反して浮かんでいる。




 『 赤キ月ノ夜 ソノ月ヲ見シ者エ

 紅キ瞳ノ 狐ノ子現ル 』




 咄嗟にあの御伽噺が脳裏に蘇る。


 あれは、本物だったのか……。


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