【更新中】キミの声、聞かせて
樹里がまだ1人で遠くまで行動するのが怖いことは分かってる


でも、それは樹里のためにはならないと親父にも言われた。


声が出るように支えてあげるのも大事なこと。


だけど、それ以上に背中を押してあげるこも大事なんだと親父に教わった


大好きな樹里の隣にいて一緒に笑ってたくさん思い出を作る


“同じ趣味があるんだから貴方に出来ることをすれば良いよ”と母さんも言ってくれた


「樹里、バスに乗るよ」


途端、樹里の顔が険しくなった


「怖いのは分かる。でも、これも樹里が前に進むために必要なこと。これを乗り越えないと奈那に会えないよ」


そういって樹里の手を握ったままバスに乗り込む


今、俺たちが住んでるのは田舎


これから目的地までバスで1時間と少し。


「大丈夫。樹里は1人じゃない。俺がついてる。怖いのもちゃんと分かってる」


それを聞いた樹里は少し安心した表情を浮かべた


「俺はちゃんと隣にいる。だからキツかったら寝てて良いよ。起こすから」


最初は頑張って起きていた樹里だけど、いつの間にか俺の手を握ったまま眠っていた
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