片恋



「―――…ッ」



止まれ。
止まれ。

…お願いだから、止まってよ。


涙なんて、見せたくない。

これ以上、ケイに甘えたくない。




「ばーか。
最初から泣けばいいんだよ」




ケイはそう言って、…優しく抱き締めてくれた。


遠慮がちな腕が、いかにも彼らしい。



不覚にも、その腕の中にいると、安心しているあたしがいた。


甘えてる。

そんなこと、わかってる。



だけど、ケイを押し退けることが、どうしてもできないの…。




< 46 / 73 >

この作品をシェア

pagetop