情けなくても君がいい

…あ
言っちゃった…

場の雰囲気は気まずくなって
気持ち悪い沈黙を破ったのは
後期一緒に学級委員長した広翔で。
「よ、よぉーし。じゃあ俺が高岡と付き合っちゃおうかなー」
「いや、広翔キモ」
「ちゅーしろやちゅー」

謝らなくちゃ…
「あ、ひろく…」
どうしよう…
ワタシ、ひろくんを傷つけた…ー


「はい、みなさんお酒持ちましたか」
「いや、お酒違うリンゴ100%」
「俺たちにかんぱーーい…あれ。
麻悠と高岡いなくね?」

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しまった。
なぜかひろくんに連れてこられ
2人きりになってもーた

気まずい…
いや、でもあやまるチャンスかな

「ぶぇっくしょん!!」
「だ、大丈夫?寒い?」

突然頭にひろくんの手が触れる。

な、なに!?

「麻悠、またついんてほどけてる」

え…

「やってあげようか」


ひろくん
さっきワタシひどいこと言ったんだよ?

なのになんで
笑ってくれるんだろう

「麻悠動いちゃダメ」
ダメだなぁ
ワタシやっぱり

ひろくんが大好きだよ

1秒ごとに
大好きが大きくなる

ひろくんに 大好きって言いたい

「でわ改めまして
俺たちにかんぱーーい」
「おべんとつくってきたよー」
「ねーひろくんひろくん麻悠もう帰る」
「麻悠わがまま言わない…」
「広翔元気だね」

おなかへった

「麻悠」

「食べる?」
「うわわ、出たじゃがりこ」
「さすがー」


久しぶりのひろくんじゃがりこだあ!

「…おいし?」
なんか…
さっきより近くなった気がする…
「うん!世界一!」


「あっれーーー?」

…?

「啓之じゃーん」
「あ、まじだ
広翔もいんじゃん」
「広翔はどーでもいーわー」

ひ、啓之?

ひろくんの高校の人かー

「啓之」かー…
なんだろ
なんかさっきまで近かった
気がしてたのに
今は50mくらい離れてるよーな
気分だなあ

中学のときよりも
やっぱモテるのかなあ

「ねー、啓之さあ」

「いつになったら付き合ってくれんの?」

なっ
なにーーー!?

「いや、だから付き合わない」
「なんでよーウチと付き合ったら楽しーよ?」


ふと
視線を感じる。

「ねー、その子彼女?」

へ…
えっ!?

「ふーん
啓之ってこーゆー子好みかあ
そりゃウチじゃ無理じゃんねー
真逆っぽーい」
「違う
ちがうよ」


「その子
俺のこと恋愛対象外だから」

「えー!?そーなのー!?
もったいなーい」

「もーいい加減お前ら去れよ
空気読め」

「麻悠トイレ行ってくる…」


そっか

“ひろくんなんか恋愛対象じゃないから”

ワタシの言ったことは

そーゆーことだ。

ほんとは大好きっていーたかったのに

ひろくんのことこんなに 大好き
なのになんでワタシは

なんてこと言ったんだろう

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